ロック考察
1999年あたりに当サイトのBBSで交わされたロックについての語りや、
2003年〜2005年・自サイト6x10企画でのコメントをまとめたものです。
その後、アドバンス版PLAY後に加筆修正を加えてみました。
おそらくムダに濃ゆいのでロック初心者にはキツいかもしれません。

メニュー
ロックは「主人公」か???
ロックの外見
ロックの体格
ロックの出身地・公式設定
ロックのばあちゃん
ロックの過去
リターナー加入時期について
「このまま眺めてるのもいいな」
「守る」という言葉の意味
「似てるんだ…」
ロックの「世界」が、壊れたとき。
オペライベントの、違和感。
ロックは「酔う」体質か??
フェニックスの洞窟の謎
暗黒ロック…。
ロックは「主人公」か???
ロックは果たして「主人公」なのであろうか?
SQUAREは当時「FF6は全員が主人公」と発表していた。
しかし、集英社刊「Vジャンプ」のFF6特集記事や
Digicube刊「ファイナルファンタジー大全集」には、
“ロックは主人公”とも取れる記述が見られた。
私は個人的に、ロックが“FF6の主人公”という
名を背負うのは無理があると考えている。
“FF6の主人公”は、まぎれもなくティナである。
確かにSQUAREは“全員が主人公”と謳っていたけれども
「幻獣界と人間界」「失われた魔法」…etcが
大きなテーマとなっているFF6に於いて、
堂々と“主人公”としての役割を果たすことができるのは
幻獣と人間とのハーフであるティナのみなのである。

ティナは崩壊後パーティーを抜けてしまうため、
ヒロインの座がセリスに移ったと解釈する声もあるようだが、
私は決してそうは思わない。
戦いの日々から一時離脱し、ゆっくりと自分を見つめ直すこと。
それが、彼女の成長にとって重要なプロセスだったのである。
彼女をパーティーに入れずにクリアすることは可能だが、
その場合でも彼女はEDに登場する。
彼女がいなければ、文字通り「話にならない」のである。

いなくてもクリアできる点はティナもロックも同じだが、
ロックはEDに登場しなくても充分「話になって」いる。
また、PS版での扱いから以下のような声もあった。
「ムービー見てるととても主人公とは思えない(苦笑)」

重い世界観を背負うための資質を持つティナに対して、
個人的な罪悪感と執着を糧に旅を続けるロックでは
“FF6の”主人公とはなりえないのでは?と結論づけたい。
他の登場人物も、またしかり。
とはいえ、私のFF6ワールドはロック中心にまわっている。
彼の生き様、言動、そして矛盾。
そこから妄想をふくらませ、想いを馳せてしまうこと。
それぞれのキャラでそういったことが出来るという点で、
“全員が主人公”と言えるのではなかろうか。

ロックの外見
ロックの公式イラストは、大きく分けて2種類あります。
フィールド画面や戦闘シーンの矢野氏ヴァージョンと、
メニュー画面やPS版ムービーの天野氏ヴァージョンです。
「かわいカッコイイ」と「大人っぽくてキレイ」の違い。
どちらをイメージするかによって、印象もかなり変わります。

ロックの髪の色もそれによって「灰褐色」とか「金髪」とか、
人によっては「銀髪」派の方々もいらっしゃるようです。
初期の設定資料では「ブルネット」というのもありました。
わかりやすく言うと、こげ茶色。ダークブラウン。
えぇー。
天野氏のとも矢野氏のとも違う色ですよねぇ。
その設定はボツになったということなのでしょうか。

ロックは、諜報活動する時に変装とかするかもしれないから、
髪を染めたりとかしたいう解釈が自然かと思ったんですが…。
ふっふっふ、もっといいのを閃きましたよ!!!

もともとの生まれ持っての髪色は、確かにブルネットだった。
でも、途中で色が抜けてしまったんですよ、きっと!
その時期は…そう、レイチェルが死んだときなのですよ!!

心労などのために髪が白くなることって、あるじゃないですか。
(あくまでも一瞬で白くなるのじゃなく、時間をかけて徐々にですが)
ロックも、レイチェルを喪ったことがショックで、そうなったのでは!?
コーリンゲンでの回想シーンは、画面がセピア色です。
つまり、ハッキリした色は確認できません。
ゆえに、この論説を否定することはできないですよねっ!
(もちろん、大手を振って肯定もできんが…)

わはーーー。
レイチェルを喪ったショックで白髪…萌ゆる!!!

けど、もしかして既に誰かの手垢のついた解釈なのかなぁ?

ロックの体格
ロックの身長・体重の公式設定は、175cm、67kgです。
過去(1999年…)、当サイトBBSで意見を求めたことがあったのですが、
「もうちょっと軽くても…」と「それくらいが妥当じゃん」とで分かれました。
「ロックが身長体重サバ読んでるとか!」
「装備品や7つ道具も全部含めた重さ…でアレ、って言うのは駄目?」
同身長のセッツァーと比べロックの方が重いことにショックを受ける声も。

しかし、現実的に175cm・67kgってどうなのでしょうか。
ロックの職業は、御存知の通り「トレジャーハンター」です。
世界中を股にかけ冒険するわけですから、華奢すぎては務まりません。
「見た目細身だけど中身は結構がっしりしてる」
「崖を登ったりとか、かなり体力いる気がしますし…」
そこそこの戦士系武具を装備可能という点も踏まえると、
ロックは「程良く筋肉のついた綺麗な肢体である」という結論に。
「ただすばしっこいだけのやわなシーフとは違うぞー」

しかし、今になってふと気づいたのですが…。
セリスやティナはバリバリ騎士装備が出来るけど、ロックは出来ない。
そうすると、ロックはセリスやティナに体力的に劣るということ…?
いや…ロックの特性を発揮するためには騎士装備では重過ぎるってだけで、
別に普通に動き回るだけなら騎士装備も全然OKだよな…うん…。
他のシーフでは軽鎧や剣を装備したら特性が発揮できないからダメだけど、
ロックはそれらを装備してもなんら変わりなく動ける、ってことだよな…。
…うん…そういうことに、しておこう…。

ロックの出身地・公式設定
昔、ある攻略本に「ロックの故郷はコーリンゲン」という記述があった。
けれど、公式設定では「不明」となっているハズである。
これは一体どういうことだろうか?

――おそらく、それはライターの早とちりであると考えられる。
ゲームをplayし、ロックとコーリンゲンの地との因縁を知る。
記事を書いたライターの頭の中で、レイチェルと過ごした日々の情報が
いつの間にか“故郷”にすりかわったと考えるのが自然であろう。
…なぜなら本当にコーリンゲンが故郷であるという設定だとしら、
もっと広く世間に公表されていなければおかしいハズである。

ティナでさえNTT出版刊「冒険ガイドブック」に於いて
(物語のキーワードである)「幻獣界」の生まれであると
大々的に記述してあるのに対し、ロックに至っては「不明」。
そこに「コーリンゲン」と記していないということは、
彼がそこの生まれで一連の悲劇を体験したわけではなく、
旅の途中でふと立ち寄った村で運命の女性レイチェルと出会った、と。
そういうわけだと思うのである。
ゆえに彼の表向きの出身地は「不明」。公式設定は、ないと思われる。

ちなみに、開発スタッフ秘話によると、
ロックの父親もトレジャーハンターであったことが判明している。
父親とともに旅をしていたという記述も、集英社刊「Vジャンプ」にあった。
ゆえにロック本人も自分の出身地を知らないという可能性は高い。

ロックのばあちゃん
本編中、ゾゾの最上階でラムウと対面するときに、
パーティーの編成の条件にも左右されるんですけれども、
ロックの口から「ばあちゃん」の存在を聞ける場合があります。
幼いロックに「幻獣のおとぎばなし」をしてくれたという人物です。

その「ばあちゃん」はロックの本当のおばあさんではなく、
血の繋がりのない、赤の他人であると思っています。
たまたま幼いロックの面倒を見ていただけだと思います。

何故ならロックの出身地は「不明」だからです。

彼女がロックと血縁関係のある本当のおばあさんだったなら、
両親の身元がはっきりしているということになるので、
ロックの出身地が「不明」となることはありえないからです。

ロックの過去
昔は、ロックに「殺し」の過去はない!と思いたかったんですが、
今はもう、さすがにそれは無理があるだろうという考えになりました。
不特定多数が閲覧するような場で言うには相応しくないですが、
むしろ、4.5人くらいは確実に殺っとけ!…という勢いです。

レイチェルと出会う前のロックは、どんなだったんでしょうね。
トレジャーハンターである父と旅をしていた、という公式設定はあります。
では、その父はどうしているのか?いつ別れたのか???

幼少期、少年期に別れたのだったとしたら、
ロックは生きていくために自力で糧を得なければなりません。
身元不明な子供が、まっとうな職につけるはずもなく。
凶悪なモンスターが徘徊する、治安の悪い世界で生き延びるには、
親切な人に拾われるか、犯罪的な集団に属するか、いづれかになると思います。
そうでなくとも、何らかの反社会的なことに手を染めざるを得ないでしょう。
詐欺、窃盗、売春、薬物、そして――殺人。

個人的に少年期のロックは、ものすごく荒れていたのではないかと思ってます。
しかし、レイチェルと出会うことによって、人生が180度、転換するのです。
いまの自分があるのは、彼女のおかげ。彼女のために、生まれ変わった。
そうすれば、ロックが異常にレイチェルを崇拝していることも説明できます。

レイチェルと出会う前のロックは、生きるために殺しをしていた。
そして――。
レイチェルを喪ったロックは、恨みのために、帝国兵を、次々と…。

――な〜んて。こんなダークなロックはダメですか?
でも「いろいろと過去のある男だ」とエドガーも言ってますし。
サウスフィガロの商人にも「悪名高い(ドロボウ)」って言われてるし。
…ねぇぇ?

最後にきちんと言っておくべきだと思うので書いておきますが、
中瑳は、別に犯罪を推奨してるワケじゃありませんので。
「お話」として、こうだったら面白いな、というだけですので。
あたりまえですが、「現実」と「妄想」は別モノです。

リターナー加入時期について
ロックがリターナーに入った時期について、いろいろ解釈があるようですが、
まず間違いないのは「レイチェルが死亡した後」であるということ。
何故なら、ロック本人が本編のリターナー本部にて
「帝国に大切な人を奪われたからリターナーに入った」と言っていたため。

そして、さらに疑問となってくる重要なポイントとしましては、
「レイチェルの死亡」と「エドガーとの出会い」はどちらが先なのかですが。
個人的には後者が有力なのではないかと思われるのですがー。

ナルシェ集結イベントのときに、こんなやりとりがあります。
ロック「俺は一度守ると言った女を見捨てたりはしない!」
エドガー「ロック…おまえ、まだあの時のことを…」

要するに、ロックが他人を守ることに対して過敏となるキッカケの事象を
エドガーがよく知っている、と解釈できる描写なのですよ!!
ですから、この2点を踏まえますとこうなります。
「ロックがリターナーに加入したのは、エドガーと出会ったあと」!

「このまま眺めてるのもいいな」
ロックがサウスフィガロで鎖につながれたセリスを助ける場面で、
「このまま眺めてるのもいいな」という選択肢が出現する。
何故、このような嗜虐的な表現の選択肢があったのだろうか。
(まぁ、セリスをすぐ助けて仲間にするかどうかという
ゲーム進行上の設定であるのは言うまでもないが…)

セリスが帝国兵に拷問を受けている現場を垣間見た時点で、
「あいつ見たことがある…」という台詞からもわかるとおり、
ロックは彼女が“帝国将軍”であることに気づいていました。
おそらく、諜報活動の際に写真等を入手していたと思われます。
もちろん彼女が“有能な”将軍であることも知っていました。
帝国には個人的なうらみがあるロック。
なぜなら、“直接的”にレイチェルを死に追いやったのは
帝国によるコーリンゲン砲撃であったから。

セリスが直接その任務に関係していたかどうかは知らない。
けれど“帝国”への憎しみは決して小さいものではなく――、
間違ってるとは思いつつも“帝国将軍”のぶざまな姿を
もうちょっと眺めていようか、という思いがよぎった。
その葛藤の具現化としてこういう選択肢があらわれた、と。
ロックFANとしては、そのように解釈したいところ。
決っっっして!性的嗜好(笑)などではないと信じたい。

「守る」という言葉の意味
ティナに「記憶」がないことを知ったロックは、
「どんなことがあっても俺が守ってやる、必ずだ」と言います。
サウスフィガロで処刑寸前だったセリスを救ったときも、
追っ手から逃げ切れる自信がなく弱音を吐くセリスに、
「俺が守る!」と言い切ります。

これらのことから、ロックはどうしても
「女ったらし」のレッテルを貼られてしまいがちです。
しかしですね…!
「守る」という言葉は決して下心から発しているものではなく、
レイチェルを守れなかったことによる自責の念からくるものなんです。

レイチェルを、危険に巻き込んでしまった。
記憶喪失になった彼女の幸せを考えて、村を去った。
けれど戻ってきたら、彼女は帝国の砲撃により死亡していた。
結局、自分は「彼女の幸せ」を考えていたのではなく、
自分を忘れてしまった彼女から「逃げていた」だけだった。
そして、1度ならず2度までも彼女を守ることが出来なかった。

記憶のないティナに、レイチェルを思った。
処刑寸前のセリスに、あのとき逃げた自分を呪った。

ロックの心にこびりつく、苦い「記憶」。
そして、それをもう繰り返したくないという思い。

「守る」という言葉は、過去を昇華させる呪文のようなもの。
そうやって口に出すことで、自分に言い聞かせているのですよ。
けど、レイチェルへの想いにとらわれ続けている限り、
自分が課した呪縛に絡め取られているに過ぎないのです…。

「似てるんだ…」
処刑寸前だったセリスを助け、サウスフィガロを後にする際に
ロックが口にしたセリフ、“似てるんだ…”。
「何と何が似てるの!?」と波紋を呼びました。

一般的には「セリスとレイチェル」と捉えられているようです。
私も一応「セリスとレイチェル」を指していると考えてますが、
「容貌」ではなく「置かれた状況」が似てる、と捉えました。
帝国の将軍という身分でありながら、
今現在、部下に拷問を受け鎖につながれているセリス。
その姿にロックはレイチェルをみたのではなかろうかと。
……いや、レイチェルが鎖に……というのではなくてですね;;
運命にあらがうこともできず、眠り続けるレイチェル。
本来自由であるはず、幸福であるはずの彼女は
微笑うことも赦されぬまま、冷たい肉体の呪縛をかけられている。
(自分がやったんじゃねぇか……↑)
拘束されたがんじがらめのからだと、閉ざされた絶望の瞳。
イメージ…というか、そんなんが似てたんじゃないかなぁ、と。
また、セリスのそんな姿が自分がレイチェルに施すよう指示した
気違いじみた行動(物質の腐敗抑止処置)を
思い起こさせる(=似ている)イメージだったからこそ、
心のどこかで悔やんでいたその行動を繰り返すのがつらく、
呪縛を解き放つ(=鎖をはずす)という行動に至った。
すなわち、見捨てることができなかった。セリスを助けた。
…なんかこじつけでワケわからん論説ですが(-_-;
抽象的な概念において、セリスとレイチェルの立場が似ていたと。

「ロックの気持ちが似ていた」という意見もありました。
昔レイチェルに感じた想い=つまり“恋”を感じていた、と。
この時点では、まだそういった自覚症状なかったため、
あのような舌足らずになったんじゃないかという分析でした。

また「セリスの絶望した姿を自分にだぶらせて」という意見も。
これは「ロックとセリスが似ている」という解釈ですね。
永遠に過去を縛りつける鎖にがんじがらめのロックのイメージ。
無意識のうちにその呪縛から解き放たれたいという願いが
セリスを助けるという行為に現れたという解釈でしょう。

エドロッカー的に「エドガーとセリス」(本気度5%)と言ってみたら
大喜びした方もいらっしゃいました☆長い金髪、長身だしね♪

ロックの「世界」が、壊れたとき。
ロックは、レイチェルの遺体を保存していました。
常識で考えれば、とても信じがたく狂気に満ちた行動です。

レイチェルが、事故により記憶喪失となったあと、
ロックはいたたまれなくなってコーリンゲンを後にしました。
彼女のため。彼女の人生のため。彼女の幸せのため。
――そう、自分に言い聞かせて…。
しかしその1年後、再びロックがここに戻ってきたときには
すでに帝国の攻撃によって彼女は死亡していたのです。

いつも在るべきはずのものが、なくなってしまった。
在って当然だと思い込んでいたものが、喪われてしまった。

自分のことを忘れ去ってしまったとはいえ、
レイチェルは、コーリンゲンで穏やかに暮らしているはず。
今は、彼女のためにも、会いに行くことは出来ないけれど…。
いつか、自分のことを思い出してくれる時が来たら、
その時は、もう一度、あの日々に帰れるはずと信じていた。

けれど――。

非情なる、帝国の砲撃。
再会することもなく、逝ってしまった彼女。

「死ぬ直前に記憶が戻った」
「最期に、ロックの名を呼んだ」

人づてにそう聞いたロックは、さぞ無念だったことでしょう。
いや、「無念」だなんて他人事のような言葉では表現したくない。
果てしない自責と、途方もない後悔。
自分の甘ったれた感傷と、自己欺瞞の思いやりが、
彼女の未来を消し去ってしまう結果となってしまった。

ロックがコーリンゲンにたどり着いたとき、
おそらく攻撃からさほど日数が経過してなかったのでしょう。
したがって、遺体の損傷もあまり進んではいなかった。
ゆえに、迷いつつも彼女の肉体に防腐処理を施すよう依頼した。

あくまでも、秘密裏に。

地下室にレイチェルが眠っていることを、村人は知らない。
「幽霊が出る」などという噂だけが、まことしやかに囁かれる。

――さまよえる魂を呼び戻す、伝説の秘宝。

彼女を生き返らせて、ロックは何をしたかったのか。
それは、ロック本人にもわかっていなかったと思います。

ロックは、レイチェルの死を受け入れたくなかった。
その事実から目を背けようと決意したとき、
あきらかに彼の中で何かが壊れたと思います。
自分の信念、思想、夢、希望。
それらが織り成されて作られる人格とは、
すなわち、その本人の「世界」であるといえます。

レイチェルを喪うことで深い哀しみを背負ったロック。
それまでの人生で築かれていた彼の「世界」は、
そのとき確かに「壊れた」のではないかと思います。

彼女を失ったことで「真実」がなくなった、とロックは言う。
ロックは、いつしかレイチェルを「崇拝」していたのでしょう。
自分が進むべき道を指し示して欲しかったのだと思います。

失ってしまったからこそ、神聖性が芽生える。
死者の想い出は、綺麗に美化されて脳裏によみがえる。
もし彼女がコーリンゲン攻撃の際に死亡を免れていたとしたら、
ロックがここまで彼女にこだわることはなかったでしょう。

オペライベントの、違和感。
遺体保存という狂行に及ぶほどレイチェルを愛しているはずなのに、
コーリンゲンの回想イベントから間もないオペライベントにての、
セリスに対する「好きになった女」とか「“セリス”をめとる」発言。
確かに、ロックの行動には一貫性がないように見えます。
いろんな女に甘い言葉をかけてフラフラする、軽い男に思えます。

しかし歪んだ視点から見れば、しっかりとスジが通るんです。
「ロックは、レイチェルを蘇らせることを最重要視している」
その前提を以ってすれば、しっかりと説明が可能なのです。

魂を呼び戻す秘宝の事は、ジドールの貴族も知っていました。
ベクタにあるらしいというセリフを、競売所で聞けます。
ロックは、ここで初めて在りかを知ったんじゃないかと思います。
ジドールの次に訪れるゾゾでの強制イベント時のセリフ、
「秘宝のこともあるし帝国をのぞいてみたくなった」から察するに
それまでロックは帝国領に足を踏み入れたことがないようです。
もし昔から知っていたのだとしたら、ロックのことですから、
すでに何とかして帝国に潜入済のような気がします。
帝国に渡る手段がなかったのではという懸念もありますが、
本編中には描写はなくとも、FF6の世界観からすれば、
貿易船か軍用船かはおそらく出ていたに違いありません。
ロックならば、その気になりゃ変装して紛れ込めるはずです。

いろいろと説明が長くなりましたが、
よって、本編中で初めて秘宝の在りかの情報を得た!!!

秘宝がベクタにあるという情報を聞いて間もなかったから、
オペライベントのとき、元・帝国将軍であるセリスに、
「好きになった女」とか気を引くようなこと言ったのです!!
要するに、ロクセリ的には非情に残念な推測なのですが、
この時点では、ロックはセリスを利用しているにすぎないと。

だって、そうじゃないですか。
本当にこの時点でセリスを大事に思っているのだとしたら、
「マリアのおとりにしよう!」などと言い出すはずありません。
まぁ…強制的なパーティ編成の都合上、
このセリフを発する役目がロックなのは仕方ないですが、
それでも他のキャラにこの思考はしっくりこないですからね。
ロックだからこそのセリフというかなんと言うか。

爽やかで明るいやりとりの裏に隠された、潜在的な黒さ。
レイチェルを想うがゆえの、狂信的思考に裏打ちされた行動。
ロックの言動の矛盾は、こうして説明することが可能です!

ロックは「酔う」体質か??
「ロックは酒に強いらしい」という噂を聞いた方がいまして、
ウチの掲示板に真偽のほどを問うてきたわけなのですが、
ハッキリ言って、私も良くわからないのです(^-^;;
けれど、個人的にはそこそこ飲めるのでは?と考えてます。
「いい酒を手に入れたんだ。飲もうぜ!」
…とかなんとか、エドガーと酒を酌み交わしてそう♪
あと、ツライことがあると飲んだくれそう!
ところがところが。
他の方の意見を聞くと「ロックは酒に弱そうだ派」が優勢。
以下、発言を抜粋してみますね。
「弱い!弱いと思います。『好きなんだケド,弱い』みたいな」
「すぐ酔っ払ってヘロヘロになってそう・・・・」
「泣き上戸であってほしいと思います・・・。かわいいし(笑)」

そこからさらに話は発展しまして、
乗り物によく酔う人はお酒にも弱いと聞いたことがあるけど?
…ってなコトになったわけです――…が。
ところで、ロックって乗り物に弱いんでしょうか???
確かにサマサへの運搬船でげろげろ〜ってなってたけども、
あれは“たまたま”なんじゃないかと思いまして…。
ちょうどあの前後って、気が張りつめてるじゃないですか。
世界のこともそうだけど、セリスとこじれてて悩む時期。
睡眠不足にも陥ると思いますし、それにともなう体調不良。
重い気分のときに船旅が重なってしまい…「げろげろ〜」と。
イベント時のセリフで、ロック本人もこう言ってます。
「なんてこったい…世界一のトレジャーハンターとあろうものが…」
なので、普段は酔ってない可能性が高いと思うのですよ。
世界を股にかけるトレジャーハンターなのに乗り物に弱いって、
致命的じゃないですか、全部徒歩で行くわけにもいかないですし。

ところがところが。みなさんに意見をうかがってみると、
やっぱり「本当に船に弱い派」が多かったのですね〜。
「ロックって結構なんでもできるイメージがあるので
こういう弱点があったほうが、面白いかなと」
「セリスとかティナとか、エドガーとかに介抱されつつv
 セッツァーとかマッシュとかには笑われそう…」
中には、以下のような発言も。
「つわり〜つわり〜♪とか、昔喜んでました。
考えなしでした。スミマセン・・・・(笑)」
「セリス:「誰の子なの、ロック?!」とか」
ははは。セリス公認!?
運搬船おりるとき、セリスは話しかけようとするけども
ロックの方が無視してしまうというシーンがありましたが、
問いつめられるのを恐れての行動だったのですね!!
…――って。(^-^;;;
結局のところ、真相は闇、なのでした。

フェニックスの洞窟の謎
過日、以下のような疑問が投げかけられた。
「崩壊後,どうやってフェニックスの洞窟に『一人』で入ったのか」
だってあれ山じゃん!しかも下から入れないし!
上のかなり高いトコからしか入れないはずじゃ・・。
1:自力で山をよじ登った。
2:飛空挺から落ちたときにそのまま洞窟に突っ込んだ。

単刀直入に、2はありえない。
世界崩壊からセリス旅立ちまでは1年という期間があり、
ロックがずっと洞窟の中を彷徨っていたとは考えられない。
それに、本編中に決定的な証拠も2つある。
・崩壊後、サウスフィガロの住人のセリフの中に、
セリスたちが定期船で到着する少し前までロックが居たとある。
・竜の首コロシアムにいた帝国兵の生き残りのセリフに
「秘宝の隠し場所のヒントをロックに教えた」というのがある。
すなわち、ロックは自らの意志で洞窟に乗り込んだのである。

そうすると、次の疑問が浮かび上がってくる。
「中に入れても、あの洞窟は1人では攻略できないが?」
職業柄ロックは顔が広く、世界の至る所に知り合いがいることから、
人脈を巧みに利用して、個人的な仲間と協力して入ったのでは?
…と解釈した方もいらっしゃったが、それはどうだろうか。

そもそも、フェニックスの洞窟が危険な場所であることは
そこに挑む前からロックにもわかりきっていた事だと思われる。
切り立った崖をよじ登るしか手段のない岩山に挑むのだから。
ハナから危険とわかりきっている場所に、
ロックが他人を巻き込もうとするだろうか???
また裁きの光によって人々が生きる希望をなくしている時に
ロックに協力を申し出る酔狂な人間がいたとも考えにくい。

根本的に、ロックは他人を巻き込みたくなかったに違いない。
「秘宝の入手」とは「レイチェルの魂の復活」である。
あきらかに個人的な執着、精神的に他人の介入を拒む領域。
ロックは何が何でも「一人で」挑みたかったのではなかろうか。

さて、ここで「1人では攻略できない」という話題に戻る。
…みなさん、大切なことを忘れてはいないだろうか。
ロックは「冒険家」なのである。
通常のゲーム時、攻略には2パーティ必要なのだけれども、
そこは「秘宝」への執念でなんとかしているのではなかろうか?
彼ならではの身のこなし、悪運を駆使して――…。
もちろん推測の域を越えることは出来ないわけであるが。
ただ、なんとなくそれを匂わせる要素はある。
職業柄、洞窟の宝箱をかたっぱしから開けていた彼であるが、
そんな彼でも、取り残していたものがいくつかあった。
(スミの方にあったテレポストーンは別として)以下の2つである。
溶岩にかこまれた所にあるもの(スイッチトラップを解かねば取れない)
ドラゴンの向こう側にあるもの(伝説のドラゴンを倒さねば取れない)
目の前に見えてはいるものの「ひとりでは無理」だったから、
これらの宝箱を諦めざるを得なかったのではなかろうか?

以上の事柄より「フェニックスの洞窟へは一人で挑んだ」と
結論づけるのが妥当かと考えられる。

暗黒ロック…。
世間のロックFANさまたちは、ロックのどんなとこに惚れてんでしょうね?
ホント、人によっていっろんな捉え方ができるキャラですからねー。
ちなみに、自分は、ロックのことを、こう、思ってます。
ロックには、見た目からは想像もつかないような腹黒さがあると思う。
人当たりのよさ・爽やかさは、幅広い人脈を得るための計算。
明るくて能天気そうな振る舞いは、相手を油断させるための処世術。
“仲間”をたくさん作っておいたほうが、いろいろと有利になるから。

レイチェルを取り戻すために、セッツァー(飛空艇)は当然のこととして、
エドガー(フィガロ国王)も、セリス(元・帝国将軍)も利用している。
特に地位の高い者は、権力を以って貴重な情報を有するがゆえに、
より懇意にしておくべきだと心の奥底で判断しているのではなかろうか。
エドガーとのくだけた関係しかり、セリスへの甘い言葉しかり。

しかし当然のながら、彼らにその本心を進んで晒そうとはしないだろう。
彼の真実とはレイチェルであり、それは他人の介入を拒むべき領域なのだ。

もしレイチェルと仲間とのどちらかを選ばねばならぬ状況になったら、
ロックは、微塵も迷うことなくレイチェルを選択すると思う。
直接的に彼女を死に追いやったのが帝国のコーリンゲン侵攻であったため、
たまたまリターナーに属しているが、状況が変われば裏切りかねんと思う。
(自分がそうだから、魔導工場でセリスのスパイ疑惑を即座に信じた)

サマサへ向かうとき、ロックはティナに同行することを申し出た。
上記の論説からすれば、ベクタにあるらしい秘宝を探索するために、
帝国に残るほうを選択するのではないかと思うかもしれない。
だが、よく考えて欲しい。ロックはすでに感づいているに違いない。
秘宝を所持している可能性が極めて高いのは、ガストラであると。
それならば、少しでもガストラに対し好印象を与えておく必要がある。
会食時のガストラの要望は、幻獣たちの怒りを静めること。
その功績を手にし、ガストラの信頼を得るためには、
そして秘宝の手がかりを聞き出し、あわよくば横領するためには、
ティナに同行することが一番の近道であると考えたのではなかろうか。

ロックにとっては、レイチェルがすべて。
正義感よりも、仲間のことよりも、個人的な利益(=レイチェル)が優先。
彼女を取り戻すためならば、どんな汚いことだって厭わない。

その行動は、ロック自身が気づいているかどうかは定かではないが、
レイチェル本人の為というより、むしろ自己満足・自己欺瞞の為といえよう。

…そして、いいですか?
フェニックスイベント後にレイチェルが逝ってしまった後には、
ロックがセリスの好意を受け入れている、という描写になっている。
“レイチェルへの執着を断ち切った”と解釈する方が普通であると思うが、
逆に、“レイチェルの遺言に従った”と考えることも出来るのである。
レイチェルの最期の言葉をピックアップすると、以下の通り。
「私の感謝の気持ちで、あなたの心を縛っている鎖を断ち切ってください」
「あなたの心の中の、その人を愛してあげて」
彼女の最期の望みを叶えるために、セリスの想いを受け止める。
ここまでの解釈の流れからすると、そう考えるのが自然となってくる。

自分とレイチェルだけの、閉じた世界・止まった時間の中で、
理想化された彼女の虚像を、狂信的に追い求め続ける。
しかし当然ながら、そういう素振りを感じさせる言動は極力取らない。
昏く深い心の闇をひた隠しにし、すべて一人で抱え込んでいる。
あくまでも、明るく爽やかでお調子者の“仮面”をかぶって――…。

――ロックという人間は、そんな男だと思ってます。

いろいろとボロクソ書いてますが、そんなロックがたまらんです。
…うん、キモイよね。
こんなロックFANって、他にいるのかね!?

-禁・無断転載-
(c)Tao Nakasa / Celestial Inferno